「脚本家になっていなければ、相撲記者になりたかった」という内館さん。横綱に対する思い入れは男顔負けで、貴乃花以降の横綱に対して数々の苦言を呈してきた。

その極め付きが朝青龍。その悪態ぶりは内館さんの好餌で、０８年秋に朝青龍が２場所出場停止処分を食ったときも、「あの人は、私の中ではもう引退した人」と酷評するなど、天敵ぶりを発揮した。

こんな内館さんの掉尾を飾るように、朝青龍がまたまたトラブル。史上単独３位の２５回目の優勝から一夜明けたこの日、師匠の高砂親方（元大関朝潮）と相撲協会に呼び出され、場所中に引き起こした“泥酔暴行事件”で通算５度目の厳重注意を受けたのだ。

相撲協会に現れた朝青龍は「酒のせいでたいへん迷惑をかけました」と前日までとは一転して神妙な面持ち。内館さんについても「長い間、お世話になりました。花を贈りたい気分だ」と頭を下げるのみで、刺激的な発言は避けた。

しかし、最後の委員会を終えた内館さんは、このとんだ“最後っぺ”に怒り心頭。「何かあるたびに厳重注意して、それで終わっていいんでしょうか、と私が申し上げると、他の委員から、今度やったら引退勧告すべきという声があがり、１、２人の委員を除いて賛同を得ました。私も賛成です。澤村先生（歌舞伎俳優）は、歌舞伎界では即刻出場停止ですとおっしゃっていましたよ」と語気を荒らげて明かした。女の執念を感じさせる置き土産だ。さらに、この天敵に厳しい口調で「私を愛しても残念ながら片思い。私はあなたを横綱と認めていませんから」と決別の言葉も。

内館さんの後任はまだ決まっておらず、これで千秋楽翌日の名物勝負が幕を下ろすのはなんとも寂しい。